『  父・母への思いと気づき』

富田 純弘

(一社)倫理研究所法人スーパーバイザー
富田製薬株式会社 代表取締役

【 プロフィール  】
昭和64年  8月  富田製薬㈱ 入社
平成  3年  6月  富田製薬㈱ 代表取締役就任
平成18年12月    徳島県徳島北(現:眉山)倫理法人会入会
平成25年     徳島県倫理法人会 会長就任
平成28年  9月  (一社)倫理研究所法人スーパーバイザー認定


【公職】
日本医薬品連合会 常任理事
一般社団法人徳島県法人会連合会 副会長
一般社団法人徳島県労働基準協会連合会 代表幹事

レポート

徳島県鳴門市に、昭和34年生まれの58歳。妻と3人の子供(長女・長男・二女)に恵まれ、3人とも独立して我が家から巣立っていっています。
現在家内と二人きりで慎ましく幸せに暮らしております。

長男には家庭がありまして、二人の子供がおり、私は52才の時におじいちゃんになりました。今後、長男には今の仕事を継いでほしいなと思っております。

会社の説明

創業者、富田九三郎が1852年に静岡の浜松に生まれる。
翌年、ペリー(黒船)来航し日本が明治維新に突き進む時代となる。
当時九三郎は、静岡の小さな塩田で塩を作っていてにがり成分の中に炭酸マグネシウムがあることに気づく。当時(明治8年頃)、日本は大量に海外から輸入していた。

九三郎は、そこに目をつけてなんとか国産したいと思い、マグネシウムの精製に日夜努力し、明治10年精製に成功する。

 

その後、「食塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸マグネシウム」を抽出・精製して細々と仕事をしていたが、大量生産化していく上で日本でどこが一番採れやすいかを調べ、現在の会社のある徳島県鳴門市がいいという事で静岡から引一家で引っ越してくる。

明治26年、富田海産塩○○を設立し、現在の会社の基礎ができました。

現在同様の精製・抽出を行い、医薬品原料とか、食品添加物、化学品分野に販売をしております。現在の主力製品は、透析患者さん向けの粉末透析剤の基になる原料を国内企業2社に卸している。資本金9,600万円、従業員約480名(正社員400名)、売り上げは約147億6000万円、来年創業125年を迎えます。

小学校、中学校時代は、家の貧しさに驚き、大学行くときは、いずれ家業を継がないといけない想い薬学部に進学。大学に進んだ時人間を変えようと思い、アメリカンフットボール部に入部。勉強の後、練習、練習に明け暮れる。

卒業後、大阪のある製薬会社に就職。営業マンとして働く。

人の2~3倍働き4年後、営業成績TOPの実績を出す。

4年半語後、父に帰ってこいと言われ、家業の富田製薬に入社。

7年後先代社長が亡くなって、社長を引き継ぐ。

33歳の時でした。その年の12月10日、ある銀行の頭取にゴルフに誘われ、夜は料亭を貸し切って忘年会と祝勝会に参加、様々な経営者の方々から激励を頂きました。そこで自分は大きな勘違いをし、自分もいよいよ社長の仲間入りをしたと思い、機嫌よく大いにお酒を飲み、車を自ら運転し、帰りに大事故を起こす。

病院に担ぎ込まれた時には瀕死の重傷でこのまま死ぬんじゃないかと思われたそうです。その後、徳島大学の医師団(先生たち)のお陰で奇跡的に息を吹き返しました。2か月半は意識もうろうのままで、その後はっきりと意識が戻る。

亡き父が、「まだまだ自分が天国に行くのはまだ早い」と、命を生かされたのではないかと思っています。

その時合わせて、いままで母親に色々と献身的に身の回りの事をしてもらっていたことに対し、強く感謝の念がこみ上げてきました。また、長期(3年間)の入院により会社に出社できず、待っているであろう社員に申し訳ない気持ちから、「会社を辞める」と言いました。そんな中ある社員から「富田製薬の社長は富田純弘でないといけないんですよ。

今、会社が伸びているのは社長がいないから復帰するまで社員一丸となって頑張っているんですよ」と言われました。

その時、頭をハンマーでどつかれたくらいの衝撃を受けました。自分は自分の事しか考えていなかった。社員は私の事を考えてくれていた。感謝の気持ちが湧いてきました。そんな社員の気持ちに応えるためリハビリに真剣に取り組み、3年でやっと退院できる体になりました。社員1人1人に報いるため、経営理念を策定する。「全従業員の物心両面の幸福を追求し人類の健康と生活に役立ち地域社会及び世界に貢献する富田製薬」理念を実行するため現在頑張ってます。

そして、倫理での学び(交通事故という苦難)、傲慢な自己中心な自分から謙虚で人の痛みの解る人間を目指します。

【会長談】

大変多忙な時期に大変な経験をされて、社員さんの献身的な働きに触れ大きくご自身を変えることができたんだな、と感じました。その事故をきっかけに、父親から人生の醍醐味・命の大切さを学び、母親から家庭の温かみ・やさしさを教えて頂いた、との事。私の父親は無くなっていますが母は健在です。真剣に親孝行をしていきたいと思います。   


★モーニングセミナー参加者: 37社、42名でした。